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これから歯科医師の仕事がAIに取って変わられてしまうのではないか、という懸念を抱いている方もいると思います。けれども、現状ではそのような未来は想定されてはいません。道徳観や倫理観に基づいた判断や患者さんへの寄り添いなど、AIでは上手にこなせない業務があるからです。
とはいえ、AIの導入がなくなるわけではありませんので、できるだけAIの知識を獲得し、AIを使う歯科医院への転職に備えておくことも大切です。
データの正確な処理、そしてパターンや関連性の発見などが、AIがもっとも得意とするところです。検出しなくてはならないデータが大量にあっても、それらをスピーディに、しかもミスなく処理する能力を利用できるのであれば、歯科医師はとても助かります。
人間の感情を理解すること、そして倫理的・道徳的な観点を加えて判断することが、AIが特に苦手とするところです。また、文脈を完全に理解するための能力なども、現時点では、人間にはまったくおよばない状態だといえます。
現在よりもはるかに高い精度で診断ができるようになり、その結果、治療の成功率も上昇すると期待されています。画像診断で病変の位置を高精度で把握できれば、治療の成功率上昇だけでなく、手術時間の短縮や患者さんの負担軽減にもつなげられます。
AIが診療データ入力などのサポートをしてくれれば、他の業務に多くの時間を割けるようになります。１日に対応できる患者数も増やせるでしょう。また、治療計画の提案を任せることも可能です。実際、マウスピース矯正では、AIがある程度まで治療計画作成を担当し、それを歯科医師が修正をするという流れが主流になりつつあるのです。
患者情報の分析にも役立てることができます。遺伝子情報のほか、歯の状態や歯並びなどを分析し、将来起こりうる問題を予測することも不可能ではありません。それに基づいた予防医療的なアドバイスもできるようになります。
患者さんとのコミュニケーションは、やはりAIにとっては難しく、人間である歯科医師にしかできない部分だといえます。また、精度の高い画像分析などを得意としているAIではありますが、患者さん一人ひとりの状況や考え方などをふまえた上で、きめこまやかに判断・対応していけるかといえば、それも難しいと言わざるを得ません。